憲法と人権の日弁連をめざす会とは

めざす会結成 

  憲法と人権の日弁連をめざす会(めざす会)は、1999年10月に日本の弁護士有志によって結成されました。

 「司法改革」の名による司法と弁護士制度の改悪に反対し、憲法「改正」による人権侵害と戦争国家への道を阻止することを主な目的として活動する団体です。

 「司法改革」と「憲法9条改正」に反対して

 1985年の国鉄分割民営化に始まる「新自由主義」による日本の政治、経済、社会の変質は、国労・総評の解体と「政治改革」なる小選挙区制導入、非正規雇用労働者の激増、社会政策規制の撤廃・緩和による弱肉強食社会を招き、民衆が普通に生きることそのものを極めて危うくする状況をもたらしました。

 そうした新自由主義政策の中で、司法の諸制度およびその担い手の一角である弁護士会・弁護士のあり方を根本から変質させる「司法改革」が財界から唱えられ、政府も1999年7月、その下に司法制度改革審議会(司法審)を設置し、国策として「司法改革」を推進し始めました。そして日本の弁護士全員が会員として加入する日本弁護士連合会(日弁連)も、「改革」の名に幻惑され、政府(法務省)、裁判所、検察庁と一緒になって、その流れに乗りました。

 これに対し、「司法改革」が、もっぱら国家と大企業の利益に奉仕する司法であり、「人権と平和」をめざす戦後憲法体制そのものの解体をもたらす危険性を、日弁連会員の多くが見抜き反対に立ち上がりました。1999年10月の「憲法と人権の日弁連をめざす会」の結成です。

 

めざす会の活動

 めざす会は、司法審が打ち出した「弁護士大増員」(年間3000人増)とそのための「法科大学院制度」(日本型ロースクール)、国民を強制的に裁判所に動員して裁判官とともに死刑もあり得る重大な刑事事件を裁かせる「裁判員制度」などについて反対し、同時期に進行した周辺事態法や武力攻撃事態法等による憲法破壊の動きに対する反対運動をも展開してきました。

 2000年2月に行われた日弁連会長選挙では、「司法改革絶対反対」「9条改憲阻止」を掲げる候補者を立てて闘い、同年11月の「司法試験合格者年3000人、弁護士5万人計画」と「法科大学院制度創設」を議題とする日弁連臨時総会においては、執行部方針に反対する弁護士層の大きな決起を生み出しました。以降、めざす会は「司法改革絶対反対」を貫いて日弁連内外の運動を継続し、2年に1度の日弁連会長選挙を闘い、2008年2月の選挙では、「司法改革」を推進する候補者の9400票に対し、7000票にまで迫りました。

 

「司法改革」の破綻

 今日、「司法改革」は、いずれも反対論が指摘したとおりの問題を露呈しています。「司法試験合格者激増」は、司法試験に合格しても弁護士として就職できず弁護士登録さえできない者や弁護士登録できても仕事がなく生活に窮する者を多数生み出しています。「法科大学院制度」は、莫大な費用を学生に負担させながら、卒業しても司法試験に合格できない者を膨大に作り出していることに加え、上記の弁護士の実情のため、入学志望者が激減し、大学院の撤退や統廃合が進み、制度そのものが崩壊の瀬戸際にあります。「裁判員制度」も、実施後2年半を経過した今でも国民の「理解と支持」はほとんど得られていません。2011年1~2月に最高裁自ら行った意識調査では84%が「やりたくない」と回答し、実際に「くじ」で選び出された候補者の大半(7~8割)が裁判員になることを拒絶しています。その一方では刑事裁判の簡略化により事実認定が粗雑になり、被告人の防御権・弁護権がないがしろにされています。

 めざす会は、この誤った「司法改革」を中止させるため、今後も全力を挙げて取り組んで行きます。

 

3.11後の情勢と「反原発」の取り組み

2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故は、日本の社会を一変させました。

被災地では生活の基盤が破壊され、失業は「3.11」以前の2倍3倍に達しています。原発の爆発による放射能汚染の拡大は、福島第一原発周辺地域の住民から生活の基盤を奪い去り、日々健康や生命への危険を生じています。さらに、大気と海水の放射能汚染は、福島県から東日本、日本全土へと拡がり、今や日本全国の住民の生存を脅かし、将来への不安に陥れています。この「事故」は、核と人類は絶対に共存できないことを多くの人々に確信させ、「すべての原発の即時停止、再稼働阻止」、「ただちに廃炉を決定せよ」との声が沸きあがっています。「原発安全」論が、政府や官僚、電力会社が原発推進のために作り上げた「神話」にすぎなかったことが白日の下にさらされ、その責任を問う声と運動が拡大しています。その「神話」を社会に撒き散らしてきたマスコミと、お墨付きを与え続けてきた最高裁判所をはじめとする裁判所の責任が追及されはじめました。

原発事故による災厄は、戦争に匹敵する究極の人権侵害です。めざす会は、弁護士の団体として、今回の「事故」発生に至るまで原発を廃止できなかったことを痛切に反省するとともに、このような重大な人権侵害を二度と発生させないよう、フクシマの被災者と心をひとつにして反原発の運動に加わり活動するとともに、日弁連を「すべての原発の即時停止、再稼働阻止、廃炉」と「原発事故に対する裁判所の責任追及」の立場にはっきり立たせる取り組みを行っています。

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口座名義はいずれも 「憲法と人権の会」(ケンポウトジンケンノカイ)